フロントタイヤの前に付いている”黒いベロ!?” ナニコレ?
最近は、駐車場に車を止める際に「前向き駐車」をお願いしている場所が、結構多いです。
これは、駐車場から車を発進させる際に、排気ガスが駐車場の壁面に掛かり汚れが付着してしまったり、
排気ガスが、隣家に流れ込んでしまう恐れがあるのを抑止する理由があります。
バックで駐車する習慣が付いてしまっている私たち日本人にとっては、なんかまだ違和感がありますよね。
「だって、車を出庫する時に素早く出せないもん!」
わかります、わかります、狭い駐車場なら特に何度もハンドルを切替して車を出さなくてはいけません。
それでは、前から車を進入させて、フロントタイヤを車止めのブロックまで進めて止める際に
「そろそろ、車輪止めブロックにフロントタイヤが当たるかなあ」と思った瞬間、
”ゴリゴリゴリ”
そんな、音を聞いた事はないですか?
「アッ、やってしもたあ????」
慌てて車を止めて、ヒヤヒヤしながら前を確認してみると、フロントバンパー部は前の壁に当たっていない。
”えっ、今のは何の音どっから????
その、ゴリゴリ音の正体はコレです。
”タイヤディフレクター”
「何それ? 初めて聞いたわ」
このパーツのですが、意外と重要な役割を担っているようです。
「分かった!」
「フロントタイヤが縁石に当たる寸前に”ゴリゴリ音”で知らせてくれる」
「違います。」
まず、タイヤディフレクターは、フロントバンパーの下、タイヤ前方の床下に垂れ下がるように
装着された黒いベロのような整流板のことです。
タイヤ前面に当たる走行風を、下向きや横向きに整流することよって、タイヤ接地面前側の圧力上昇を
抑えて、空気抵抗を減らす役割があります。
車種やタイヤサイズによって空気の流れ方は変わるため、最適な形状はそれぞれ異なり、
メーカーによってはタイヤスパッツとか、タイヤストレーキともよばれています。
この、パーツに関して少し深堀してみると、タイヤ前面に直接走行風を当てないという発想自体は
古くからあり、1970年代にはエアダムタイプのフロントスポイラーを装着したツーリングカーや、
それを真似たチューニングカーが流行りました。
これも、タイヤやボディ下面に潜り込もうとする流れを遮り、側面にかき分ける狙いがあるものでした。
市販車でも、2000年頃のBMWの3シリーズなどの欧州車は、張り出しタイプのフロントバンパーを
積極的に採用していましたが、これもタイヤ周りの整流を意識したものです。
タイヤディフレクターは、見た目が地味でメーカーも積極的にアピールしないので、
その起源は明らかではありませんが、高速走行を重視する欧州車では2000年以前から装着され、
国内では2010年頃から多くのクルマで装着が始まったようです。
現在は、ほぼすべてのメーカーで採用され、前輪だけでなく後輪の前にも装着されるようです。
ということで、この”黒いプラスチックのベロ”は、よりよく車を安定して走行させる為の重要パーツでした。
特に、高速道路での走行時に威力を発揮するものだったんですね。
それでは、また次回です。